交通事故当日の診断書

今回は、整形外科医の立場から、交通事故の患者さんの、交通事故当日の診断書について説明をしてみたいと思います。

交通事故で怪我をされ、医療機関を受診する際は、警察が人身傷害として取り扱うために、警察から診断書の提出を求められるのが通常です。そこで、交通事故被害者の方は、医療機関を受診した際に診断書の作成を求めるのが通常です。交通事故に遭い、医療機関を受診したのが、通常の診療時間帯ならば、一通り必要な検査をすることができ、医師としても、一定の診断をつけた上で診断書を作成することができます。他方、夜間や休日などの救急外来の場合は、医師としても、病院によってはCT検査などができず、確定診断をすることが難しい場合も少なくありません。また、当直医や救急の担当医が、整形外科医でない場合には、骨折の有無を確実に診断することができないことも少なくありません。

 

医師は、このような一定の制限のある状況の中で、警察に提出する診断書を作成しなければなりません。そうすると、●●骨折疑い、●●痛、●●打撲といった曖昧な病名をつけざるを得ませんし、警察に提出する診断書で求められる見込みの治療期間についても、推定で書かざるを得ません。この治癒までの見込期間については、明らかな骨折があるような場合には、1か月を超えるような期間を記載することになりますが、打撲やむちうち(頚椎捻挫)といった病名の場合は、とりあえず約1週間とか10日程度といった短めの期間を記載する傾向にあります。これは、この期間が加害者の処分に影響を与えるので、どれくらいで治癒するかわからない以上、無意味に長くは書けないという事情があることも原因の1つです。

 

このように、交通事故当日に、警察に提出することを目的として作成される診断書は、制限された状況の中で作成されるものですので、交通事故加害者側の損害保険会社に無条件に提出するのではなく、場合によっては、きちっと診断がついたのちに、別途、診断書を作成してもらう方が、無用な誤解を生みません。

 

交通事故の診断書についてご不明な点がある場合には、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。