損害論⑫・傷害慰謝料

交通事故の被害に遭い、交通事故に基づく損害を加害者ないし保険会社に請求する場合、具体的な損害額がいくらであるかということが争いになります。今回は、その中でも傷害慰謝料について解説致します。
 

1 傷害慰謝料

 傷害慰謝料とは、怪我をしたことに対する精神的な損害の賠償金のことをいいます。
 傷害慰謝料の算定は、入通院の期間の長さに対応して損害額が定められている表を用いて行うことが一般です。また、算定の基礎とする通院期間については、実際の通院期間(通院の始期と通院の終期の間の日数)を原則としますが、通院が長期にわたり、かつ、不規則な場合は、実際の通院期間と実通院日数(実際に通院した日数)を3.5倍した日数とを比較して、少ない方の日数を算定の基礎とします。
 もっとも、交通事故の被害者が社会生活上受ける不利益は治療期間の長短とは必ずしも比例しないことがあり、特別な事情を考慮し、傷害慰謝料を増額した裁判例もあります。
 

2 判例

 大阪地方裁判所平成12年2月29日判決は、ゴルフのトーナメントプロ志望であった被害者について、追突されて頸椎捻挫等の傷害を負う事故に遭わなければ、ツアー予選会を勝ち進んでトーナメントプロになれたかどうかは定かではないものの、少なくとも事故のためにツアー予選会へ出場する機会を逸したことを考慮して出場不能による慰謝料25万円を認めました。
 また、東京地方裁判所平成14年4月16日判決は、主婦の被害者が左大腿骨解放骨折、外傷性くも膜下出血などの傷害を負った場合に、被害者の負った傷害は極めて重く、合計すると3年以上にわたる入院生活を余儀なくされ、さらには、結果として配偶者と離婚せざるを得なくなった事情を考慮して、傷害慰謝料600万円を認めました。
 

3 最後に

 交通事故における損害額の計算は、一般の方には判断が難しいものと思います。当事務所にご依頼いただければ、妥当な損害額を判断し、加害者及び保険会社に対し適正な額を主張致します。

大阪A&M法律事務所では交通事故の被害者の方の相談をお待ちしております。