交通事故被害者の7級頚髄損傷の主張を否定し14級と認定した裁判例(大阪地方裁判所平成26年3月18日)

交通事故と脊髄損傷

 

交通事故で首に強い力がかかり、頚椎が過伸展したり過屈曲したりすることにより、脊髄損傷が生じることがあります。追突事故で脊髄損傷を受傷することもありますが、脊髄損傷と診断されても、症状の程度は千差万別で、特に症状が軽い場合には、追突した自動車の速度などから、かなりの力が脊髄に加わったと認められないとして、脊髄損傷が否定されることも少なくありません。本裁判例では、MRI画像上明らかな異常所見がなく、症状の経過を慎重に判断した結果、一過性の脊髄振盪にとどまるとし、後遺障害等級14級と認定しています。

 

交通事故被害者の7級頚髄損傷の主張を否定し14級と認定した裁判例

(大阪地方裁判所平成26年3月18日)

 

交通事故(追突事故)で、頚髄損傷を負ったと主張する38歳男性について、原告には「左上下肢の筋力が低下していたにもかかわらず、筋萎縮も、四肢腱反射の低下、亢進もなく、左右差もな」い、「ロンベルグ試験が陽性であれば、下肢の振動覚は著しく低下するのであるのに、正常値であったもので、整合性を欠く。・・・受傷後6時間でほぼ元通りに回復したにもかかわらず、その約2か月後に左上下肢に症状が生じる状況となるということは、頚髄損傷による麻痺の発生機序とは整合しない」などと、症状の経過や検査所見などを慎重に判断し、一過性の脊髄振盪にとどまると判断しました。

 

まとめ

 

交通事故で医師に脊髄損傷と診断をされることもありますが、自賠責の等級認定や裁判所に認定をしてもらうためには、単に、診断名があるというだけでは不十分で、症状の経過や検査所見などをきちっと主張・立証していくことが重要です。交通事故に関する裁判例や医学的な知識が、相手方との交渉や裁判において重要となりますので、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。