高次脳機能障害及び外貌醜状で併合3級の認定に対し労働能力喪失率を90%とした裁判例(名古屋地方裁判所平成26年6月27日)

交通事故と外貌醜状

 

交通事故で顔などに傷が残った場合に、外貌醜状として、傷の部位や大きさに応じ、後遺障害等級認定がなされる。もっとも、外貌醜状があるからといって、必ずしも労働が制限されるわけではないので、後遺障害慰謝料は認定された等級に基づいた金額が支払われるとしても、逸失利益については争いとなることが多いです。本裁判例(名古屋地方裁判所平成26年6月27日)でも、外貌醜状の点で、労働能力の制限を限定して認定し、後遺障害等級併合3級であるにもかかわらず、労働能力喪失率を90%と認定しています。 

 

高次脳機能障害及び外貌醜状で併合3級の認定に対し労働能力喪失率を90%とした裁判例

(名古屋地方裁判所平成26年6月27日)

 

交通事故で、び慢性軸索損傷等から自賠責5級2号高次脳機能障害、同7級12号外貌醜状及び10級2号複視等の併合3級後遺障害を残す16歳女子高生の後遺障害逸失利益算定について、交通事故被害者の外貌醜状は、7級としては比較的軽度であり、接客を含むアルバイトに実際に従事しているが、外貌醜状によって不利益を被った様子は伺われない等から、5級高次脳機能障害に加え複視等が残存していても「就労の可能性は皆無とまではいい難い」とし、労働能力喪失率を90%とした。

 

まとめ

 

交通事故で外貌醜状を負った場合、後遺障害等級認定がなされても、労働能力喪失率が争いとなることは少なくありません。交通事故に関する裁判例や医学的な知識が、相手方との交渉や裁判において重要となりますので、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。