交通事故による高次脳機能障害と損害賠償
交通事故で脳に損傷を受けたとして高次脳機能障害と思われる症状を呈する被害者の方の中には、画像検査所見などで器質的損傷が認められないということもあり、損害や、交通事故との間の因果関係が争われることもあります。
また、交通事故により高次脳機能障害を負ったという因果関係が認められたとしても、その後遺障害(後遺症)としての程度の評価も争いとなります。
交通事故により高次脳機能障害を負った場合、自賠責の後遺障害等級認定としては、「神経系統の機能又は精神に障害を残すもの」として、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号のいずれに当たるかが問題となります。知能低下や、記憶障害などが著しく低下したような場合には、知能検査等で評価がしやすい面もありますが、行動障害や人格の変化を起因として、社会的行動障害があり就労が困難というような場合には、その評価が難しいこともあります。
また、高次脳機能障害を負った場合、脊髄損傷などで寝たきり状態ではなく、歩行機能などは維持されているがために、かえって、異常行動を監視する必要があり、付添や介護に手間がかかるということもあり、介護や付添の必要性や程度が、争いとなることもあります。
ご自身やご家族が交通事故により高次脳機能障害を負った場合には、交通事故加害者との損害賠償問題については、早めに、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。