交通事故で重度後遺障害を負った場合の家屋改造費
交通事故で重度後遺障害を負った場合、後遺障害の程度に応じ、自宅の改造が必要となることは少なくありません。歩行が困難となり車椅子生活となれば、自宅に入るまでのアプローチを車椅子で移動できるようにしたり、家の中をバリアフリーにしたり、お風呂の改造をしたりするなど、大幅な改造が必要となることも少なくありません。では、こういった家屋改造に必要な費用を、交通事故の加害者に請求することはできるのでしょうか。
過去の裁判例では、以下の様なものがあります。
高次脳機能障害、四肢麻痺等(後遺障害等級1級1号)の後遺障害を負った交通事故被害者に対し、建物の新築し土地購入費用も含め2555万円を要したのに対し、介護のために旧建物を改造するのに必要な費用1239万円を認容した(京都地方裁判所判決平成20年3月19日)。
重度高次脳機能障害、嚥下障害、等の後遺障害を負った交通事故被害者に対し、自宅改造費445万円等を認めた(名古屋地方裁判所平成21年3月10日)。
股関節、膝関節、足関節が完全強直し下肢の機能全廃(後遺障害等級5級7号)の後遺症を負った交通事故被害者に対し、車椅子昇降機の設置、トイレ・出入り口の扉の改装等の費用177万円を認容した(東京地方裁判所平成20年11月12日)。
腕神経叢引抜損傷、鎖骨下動脈損傷等を受傷し、上肢の機能全廃(後遺障害等級5級6号)の後遺症を負った交通事故被害者に対し、トイレ・風呂の改造費97万円を認容した(仙台地方裁判所平成22年5月18日)。
これらの裁判例は、ごく一部に過ぎませんが、交通事故によって負った後遺障害について、相当因果関係が認められる範囲の家屋改造費については、認められるというのが裁判例です。この相当因果関係というのが難しいところで、例えば、最初の京都地方裁判所の裁判例の様に、事実上は、建物の建て替えざるを得ない様な場合でも、立替費用全額というのは認められないという傾向にはあります。
詳細については、交通事故事案に詳しい弁護士にご相談下さい。