交通事故で腰椎圧迫骨折を受傷し8級が認定されたが喪失率15%とされた裁判例(名古屋地方裁判所平成27年1月23日)

交通事故による脊椎圧迫骨折と後遺障害逸失利益

 

交通事故により腰椎や胸椎など脊椎の圧迫骨折を受傷し、変形治癒した場合、変形の度合い等に応じ、自賠責の後遺障害等級8級や11級が認定されます。一般的な基準に照らすと、8級で45%、11級で20%の労働能力の喪失が認められ、逸失利益を損害賠償請求することができるのですが、腰椎や胸椎などの脊椎の圧迫骨折の場合は、変形して治癒したからといって、直ちに労働能力が下がるとは言えないことが通常です。労働能力が下がる原因としては、変形して治癒したことに伴って、腰痛などが残存することによることが多く、その観点から、12級の神経障害として14%などと、労働能力喪失率が下げられて認定されることが多いです。

本裁判例でも、後遺障害等級8級が認定されたのですが、労働能力喪失率は15%とされています。

 

交通事故で腰椎圧迫骨折を受傷し8級が認定されたが喪失率15%とされた裁判例(名古屋地方裁判所平成27年1月23日)

 

 本裁判例(東京地方裁判所平成26年12月26日)では、交通事故で腰椎圧迫骨折を受傷し、後遺障害等級8級が認定された有職主婦について、「原告の後遺障害の内容は、第1腰椎圧迫骨折後の脊柱の変形障害(8級)及び両下肢痛、しびれ、歩行障害(14級)であり、脊柱の変形障害は直ちに労働能力を喪失させるものではないが、腰痛が派生していることに照らし、労働能力喪失率は15%を認め、労働能力喪失期間は10年とするのが相当である」としました.

 

まとめ

交通事故で腰椎や胸椎の圧迫骨折を受傷された場合、後遺障害等級認定では、11級などが認定されますが、相手方保険会社は、労働能力は喪失していないと逸失利益を争うことが少なくないです。交通事故に遭われた早期から、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。