交通事故による打撲から腓骨神経麻痺による下垂足を認定した裁判例(京都地方裁判所平成26年9月26日)

交通事故と腓骨神経麻痺による下垂足

 

交通事故後に、腓骨神経麻痺による下垂足になったと診断されるケースはたまにみられます。とはいえ、腓骨神経麻痺は、腓骨頭付近での圧迫でも発生することから、例えば、受傷後のギプス固定による圧迫や手術時の圧迫などによっても発生し、交通事故の受傷形態から争いになることもあります。また、下垂足まで至らず知覚障害を中心とした症状にとどまる場合には、腓骨神経損傷自体が争われることもあります。本裁判例では、筋電図検査などの客観的な検査もなされ、下垂足に対し腱移行術という手術までなされていることから、交通事故により腓骨神経麻痺が起こったと認定しています。

 

交通事故による打撲から腓骨神経麻痺による下垂足を認定した裁判例(京都地方裁判所平成26年9月26日)

 

 本裁判例(京都地方裁判所平成26年9月26日)は、原付自転車を運転していた被害者と乗用車の交通事故ですが、「本件事故によって、・・・右腓骨神経を損傷し、その結果、下垂足となり、足関節が自動で背屈できないことにより、当該部位の軟部組織が短縮したり伸縮性が低下して関節拘縮が生じ、他動でも、背屈10度、底屈25度の合計35度で、健側の55度に比べ、その3/4以下に制限されたことが認められ」るとした上で、後遺障害等級12級7号と認定しました

 

まとめ

 

 交通事故で腓骨神経麻痺が生じた場合には、交通事故直後の他覚的所見が重要となります。交通事故後の初診時に、症状を医師にきちっと伝え、早期に必要な検査を受けているかが因果関係の認定に影響を与えます。交通事故による腓骨神経麻痺(下垂足)にお困りの場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。