交通事故による怪我で示談後の後遺障害についての慰謝料請求等を認めた裁判例(京都地方裁判所平成26年8月29日)

交通事故と示談

  交通事故で怪我をすると、相手方の保険会社が治療費等の支払を病院にしてくれることが多いです(一括払い)。もっとも、一定期間が経過すると、そろそろ症状固定という話になり、後遺障害診断書を作成し、後遺障害等級認定となります。その後、認定された後遺障害等級を前提に、示談ということになりますが、本裁判例では、示談後に、後遺障害等級認定前に、清算条項(この示談の内容以外の損害賠償請求権を放棄するという約束です。)の入った示談書を交わしていたので、その後認定された後遺障害について、損害賠償請求が認められるか否かが争われました。本裁判例では、最終的には、別途、後遺障害についての損害賠償請求を認めましたが、一旦、このような示談をしてしまうと、後に、損害賠償金等を請求することが困難となりますので、示談をする前に、弁護士に相談されることをおすすめします。

 

交通事故による怪我で示談後の後遺障害についての慰謝料請求等を認めた裁判例(京都地方裁判所平成26年8月29日)

 本裁判例(京都地方裁判所平成26年8月29日)では、示談後に、後遺障害等級認定前に、清算条項の入った示談書を交わしていたので、その後認定された後遺障害について、損害賠償請求が認められるか否かが争われましたが、「同一の不法行為による身体傷害に基づく損害の賠償請求権は、訴訟物が一つであるものの、損害賠償請求訴訟においては、休業損害及び逸失利益や傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料等と、傷害と後遺障害を区分して扱われているし、自動車損害賠償保障法は、被害者に対して支払うべき損害賠償額について、後遺障害及び傷害等の別に支払基準に従って支払うものと定めているから傷害の賠償責任と後遺障害の賠償責任は区別して観念できる」として、原告が「被告に対し、本件示談において、後遺障害について、自動車損害賠償責任保険の範囲を超える被告の賠償責任をも免除したとは認められない」と認定しました。

 

まとめ

 交通事故後の相手方との示談は、その後わかった損害についての損害賠償請求に障害となることが少なくありません。また、一旦合意した金額を修正することは原則としてできません。したがいまして、示談をされる際は慎重にご判断頂ければと思いますし、できれば、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。