交通事故被害者である24歳女子の顔面醜状に10%の労働能力喪失を認めた裁判例(東京地方裁判所平成27年1月20日)

交通事故と外貌醜状

 

交通事故により顔や手足に怪我を負い、傷跡が残る場合があります。この残った傷跡のことを外貌醜状といいますが、外貌醜状は、その大きさによって、後遺障害等級認定の対象となり重い場合は後遺障害等級7級が、軽い場合は後遺障害等級12級が認定されます。

もっとも、外貌醜状があるからといって、直ちに労働能力が下がるわけではないので、後遺障害等級に対応した慰謝料は認められるとしても、職業がモデルであるなど、容姿が重要な職業の場合を除き逸失利益は認められないことも少なくありません。本裁判例では、24歳の若い女性であることなどを考慮して、後遺障害等級7級に対応した56%ではなく、10%として逸失利益が認定されました。

 

交通事故被害者である24歳女子の顔面醜状に10%の労働能力喪失を認めた裁判例(東京地方裁判所平成27年1月20日)

 

 本裁判例(東京地方裁判所平成27年1月20日)では、交通事故で顔面に傷が残った24歳のドラッグストア勤務の女子について、「醜状障害の部位・程度、原告の年齢、原告の業務は店舗における販売等であり、接客等も含むものであることを考慮すると、原告に残存した後遺障害は就労に影響を与える」としたものの、原告の醜状障害は、「髪型や化粧などによって目立たなく様にすることが可能であること、年齢の経過とともに就労への影響等は変化していくと考えられることを考慮すると、本件後遺障害における原告の労働能力喪失率は、症状固定時である25歳から67歳までの42年間全体を平均して、10%と認める」としました。

 

まとめ

 

 交通事故で外貌醜状を受傷された場合には、適切に主張を行わないと、逸失利益が認められないことになりかねません。交通事故に遭われた早期から、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。