交通事故被害で脊髄損傷になった場合に後遺障害等級認定を受けるには

「交通事故で脊髄損傷になり今後の生活が不安」「交通事故のあと痺れがあるが脊髄損傷ではないかと心配」など、交通事故で傷害を負った場合の不安はつきないものです。
そこで今回は、脊髄損傷の原因交通事故で脊髄損傷になった場合の後遺障害等級認定について解説します。

脊髄損傷の原因とメカニズム

脊髄損傷の原因の大半は交通事故による強い衝撃

脊髄損傷は、ヘルニアや腫瘍など他の疾患により発症することもありますが、大半は外傷が原因です。
その中でも多くを占めるのが交通事故によるものです。他の要因としては、スノーボードなどのスポーツや高所からの落下など、強い衝撃を伴う事故があります。
事故による衝撃や落下によって脊柱に強い力が加えられたことにより、外傷を負い、脊髄に損傷を受けてしまった状態です。

脊髄を損傷すると脳からの命令が断たれ運動機能に影響が

脊髄損傷の怖いところは、損傷した部分だけではなく、他の部分の運動機能にも影響がでるということです。
脊髄は脳からの命令を身体に伝達する機能を持っていますので、損傷すると伝達機能が働かず、怪我をしていない部分の運動機能にも影響がでてしまうのです。

脊髄損傷の症状と麻痺の程度

脊髄損傷は、損傷の程度により完全損傷不完全損傷に分けられます。

完全損傷

 
完全損傷は脳からの命令が一切伝達できなくなっている状態ですので、脳から見て損傷した部位の脊髄が支配する領域より下の部分は完全に麻痺して動かすことができなくなります。
本人に意識があっても、損傷した部位以下は動かせませんし、自律神経も損なわれますので、自力での呼吸や体温調節さえ難しくなるケースもあります。

麻痺しているため痛みなどの感覚もないように思われがちですが、痛みが残ったり本来感じないはずの感覚が残ることもあります。

不完全損傷

 
不完全損傷では、しびれや筋力の低下により運動能力に影響が出ます。歩行ができなくなったり、細かな作業ができなくなったりします。感覚はあっても自力で動かすことが困難な状況も含みます。
また知覚に異常がでることもあり、知覚過敏・知覚消失などの症状がでることもあります。

不完全損傷はむち打ち症と症状が似ていることも多くあります。正しい診断を受け、脊髄損傷だということを立証するためには、事故後早い段階で専門家へ相談し、脊髄損傷に詳しい専門医を受診することがポイントです。

脊髄損傷は治療可能か

脊髄損傷といえば、不治の病、完治しない病気、と考えられてきました。実際、完治は難しいものですし、症状が重ければ24時間一生涯介護を必要とするケースもあります。しかし近年では医学の進歩により、さまざまな治療法が試されています。

脊髄損傷になると、その後の人生に大きな困難があることは確かです。
ご家族の介護の負担を減らし、少しでも不安を少なくするために、適切な後遺障害等級認定を受け、最大限の損害賠償金を受け取ることが必要でしょう。

適正な後遺障害等級認定を受けるために

精度の高いMRIによる画像撮影の重要性

脊髄損傷の診断では臨床所見に加えMRIを用います。適正な後遺障害等級認定を受けるためにも、事故後なるべく早い段階でMRIによる診断を受けることが重要です。
CTやレントゲンでは、脊髄の異常は確認できません。脊髄損傷による出血などはMRIで撮影できます。
また、MRIも病院によって性能が異なり、性能の低いMRIでは損傷を見逃してしまう可能性もありますから、注意が必要です。
そして、事故後時間が経ってしまってからでは、交通事故との関連性を立証することが難しくなるケースもあります。事故後に他の要因で脊髄に損傷がおこったのではないかという見方をされる可能性があるからです。

万が一脊髄損傷を見つけることができず、むち打ち症と診断されると適切な後遺障害等級認定を受けられません。

交通事故で傷害を負い、脊髄損傷の疑いのある場合には、専門医のもとで性能の高い機器を用いてMRI診断を受けるなどの対策を早急にとることをおすすめします。

脊髄損傷の後遺障害等級

脊髄損傷では、常に介護が必要な、いわゆる寝たきりの状態になることもあり、後遺障害等級は第1級を認定されることもあります。
しかし、脊髄損傷はその程度や状況により、第1級から第12級までに認定される可能性があり、実際の症状に見合った後遺障害等級に認定されるためには、弁護士などの専門家の助けが必要です。
交通事故による後遺障害等級認定に詳しい弁護士に相談すれば、保険会社との交渉だけでなく、病状固定のタイミングや、妥当な後遺障害等級に認定されるためのポイントとなる画像診断データ(MRI)の必要性についてなどのアドバイスを受けることができます。

交通事故による脊髄損傷の後遺障害等級は弁護士に相談を

脊髄損傷はむち打ち症と間違えやすく、治療が長期に渡り、回復の見込みがないケースも多くあります。
交通事故で脊髄損傷となった際に被る、経済的負担と精神的負担は計り知れないものです。

当事務所では、正確な後遺障害等級認定を可能とし、今後の生活のために可能な限り多くの損害賠償金を受け取れるよう、サポートいたします。