免責証書

免責証書とは、任意保険会社がその合意内容について書面化したもで、示談書と類似するものですが、両者の法的性質は違います示談書が当事者双方の合意した意思を表示する契約書であるのに対し、免責証書は、下記のとおり、被害者が損害賠償請求権を放棄する旨の一方的な意思表示を示した書面です。以下、免責証書について説明致します。

損害賠償請求権者(交通事故の被害者や被害者より委任を受けた代理人弁護士等)が加害者側の任意保険会社に対し損害に対する賠償を請求した場合、以下の3つの条件のいずれかを満たしたときに加害者側の任意保険会社より損害賠償額の支払いを受けることができると約款で規定されています。

1 判決の確定/裁判上の和解/調停の成立/書面による合意の成立

2 被害者が被保険者(加害者等)に対し損害賠償請求権を行使しないことを

  被保険者に対して書面により承諾したとき

3 損害賠償額が保険証券記載の保険金額を超過することが明白なとき

 免責証書を取り交わすことは上記の2に該当します。

被害者は損害賠償額を二重取りすることはできませんので、被害者が損害賠償権を放棄するという前提がなければ損害賠償額の支払いを受けることができないとする構成になっているのです。

 免責証書は、人的損害(人損)と物的損損害(物損)を分けて、それぞれ作成します。通常、物損の方が人損より早期に損害額が確定しますので、物損の示談が先行する場合が多く、このため、人損の示談をする前に物損の免責証書を作成している場合が多いです。

 いずれにしても、基本的に免責証書の効力を覆すのは難しいので、署名捺印前に十分な検討が必要です。