脊髄損傷

脊髄損傷とは、脊髄に損傷をきたすことですが、脊髄とは、簡単に言うと、背骨に通っている神経の束です。

「友達にLINEで連絡を取ろう!」と思いついたとき、脳から脊髄にその命令が伝達されることにより、携帯電話を手にとり、指先でLINEのアプリをクリックし、考えた言葉を入力するといった一連の動作が可能となるのです。

脊髄は神経の束ですので、脊髄に傷がつくとその損傷箇所や程度によっては上記のような動作ができなくなったり、携帯電話を触ってもその感覚がなくなったりするなど、いわゆる麻痺が残ってしまうことがあります。

交通事故においては、その強い衝撃によりまずは脊髄を覆っている脊柱が損傷され、脊柱が脊髄を保護することができず脊髄まで損傷するといったケースが多いです。なお、脊髄損傷の原因は交通事故が4割を占めるとされています(1990年ないし1992年日本脊髄障害医学会調査)。

脊髄損傷の多くは前述のとおり麻痺が生じるものです。

麻痺が生じる部分は、脊髄損傷の場所(高位)によって異なり、損傷した部位より下の部分で麻痺が生じます。

わかりやすくご説明すると、首辺り(頸髄)で脊髄が損傷すると四肢麻痺(両上下肢の麻痺)が生じますし、おへその上辺りのレベル(第2腰髄より上)で脊髄が損傷すると下肢全体に麻痺が残ります。

麻痺の範囲は、(1)四肢麻痺、(2)対麻痺(両脚の麻痺)(3)単麻痺(片腕or片脚の麻痺)に分けられます。

一方、麻痺の程度は(1)完全麻痺と(2)不完全麻痺に分けられますが、交通事故では(1)高度、(2)中等度、(3)軽度と分類し、麻痺の範囲とともに照らし合わせ、後遺障害等級認定が行われます。等級は、別表第一の1級、同2級、別表第二の3級、5級、7級、9級、12級のいずれかとなります。

交通事故において脊髄損傷をおった場合の後遺障害(後遺症)の等級認定にあたっては、画像所見と神経学的所見などをあわせて判断がなされますが、MRI画像で脊髄損傷を疑う所見があるかなどの画像所見は、等級認定の際には重要視されています。