自転車事故の過失割合(2)

最近は自転車での通勤通学が増え、また自動車保険や傷害保険の弁護士費用等補償特約(通称「弁特」)に加入する方が増えてきています。これにより自転車での交通事故が賠償問題に発展するケースが増えてくるものと考えられます。そこで、そもそもこのような交通事故に巻き込まれないようにするため、そして万が一巻き込まれたときに多額の責任を負うことのないように、前回のコラムに引き続き今後数回にわたり過去の自転車同士の交通事故の内容と過失割合を紹介し、自転車に乗る際の注意点を示したいと思います。

過去の裁判例

上記のような交通整理の行われていない住宅街の交差点において、夜間、Xが南北の通りを自転車にて北上し、Yは同じく自転車にて東西の通りを西進していた。そしてXYは交差点の○×地点において衝突した。交差点へはXの先入が認められるが交差点に入る際に減速はせず、Yは減速し交差点に進入した。当時Xは71歳、Yは12歳であった(東京地判平成22年9月14日(交民43巻5号1198頁))。

過失割合はどのように判断されたのか?

X対Y=40対60

なぜこのような過失割合の判断となったのか?

①Yは交差点に進入する際、減速したのみで交差道路の交通状況に関する確認を十分に行っていない。
②Xが、本件交差点手前で右方を見たところ人影等も見えなかったので本件交差点に進入したといっても、本件衝突状況からすれば、当然、Yが本件交差点に近づきつつあったはずであり、これを見落としたXは、交差道路の交通状況の確認が十分であるということはできない。
③Xは71歳とやや高齢、Yは12歳と極めて若年である。
④Xは減速をせずに左方から侵入し、交差点に先入している。
⑤夜間に発生した事故である。

まとめ

今回の事案は、夜間の交差点での出会いがしらの事故ですが、自転車も軽車両であり道路交通法による交通規制を受け、交差点侵入時には減速義務があり、左方優先のルールも適用されます。
もっとも、自動車と異なり、免許制度がなく、自転車の運転者は必ずしも道路交通法に精通しているわけではないため、左方優先のルールを知らなくても強ち不合理とも言い切れません。
また、自転車は自動車と異なり比較的低速であり、ハンドルの操作も容易であるため、左から進行してきた自転車が衝突回避行動をとることも比較的容易と言えます。
したがって、自動車と比べて左方走行車両を優先させる必要性が低く、衝突回避義務を重く課したとしても、不合理とは言えません。上記裁判例における考慮事情②はこの点を明確に示しているものと言えます。
今回の事例では、左方自転車が交差点に先入していたため、右方自転車の過失割合に20%の差が生じていますが、自動車同士の衝突に比べて、左方車両の過失が重く評価されているものと考えられます。
一般的にも法律上も、自動車については左方優先とされていますが、自転車では左方優先が当然に適用されるわけではないため、信号等による交通整理が行われていない交差点を走行されるときは、くれぐれも注意して自転車を運転するべきと言えます。

最後に

大阪A&M法律事務所の弁護士は、これまで数々の交通事故事件を解決してきました。予期せぬ自転車事故に巻き込まれた際は、是非当事務所の経験豊富な弁護士にご依頼ください。