交通事故の後遺症(2)

症状固定時に、痺れ・めまい・頭痛などの神経系統に関する後遺症が残っている場合の後遺障害の認定は、他覚的所見のなかでも画像所見が重視される傾向にありますが、自覚症状を神経学的所見に基づいて裏付けることも重要なポイントとなります。

足を切断していたり顔にけがが残っていたりする場合は、外見上からも残っている後遺症の状態を確認することが可能ですが、神経系統の後遺障害は一見して分かりにくいものです。

ですので、後遺障害等級認定の申請時には神経学的異常所見を添え、医学的に症状を伝えることも効果があることがあります。

では、むち打ち症の場合に、有意義な神経学的な検査をあげていきましょう。

 

【知覚検査】

筆や針などを用い、触覚や痛覚を検査し、異常のある範囲を特定する検査です。皮膚分節図と照らし合わせることで、損傷している神経の領域を推測することができるため、重要な神経学的検査です。

 

【スパーリングテスト・ジャクソンテスト】

どちらも神経根症状を調べるもので、セットで行われることが多いです。

機械や道具を用いる検査ではなく、患者に頭を左右や後方に傾けてもらって、検査をする側が手で患者の頭を上から押さえます。

そのとき、患者が肩や腕などに痺れや腫れなどの症状を感じると、陽性となります。

 

【腱反射】

膝のお皿のしたあたりをトンっと叩くと膝下が跳ね上がる、という現象をみなさまご存知でしょう。

これを腱反射というのですが、神経に障害が生じていると、腱反射が低下したり、逆に亢進したりします。むち打ち症の場合は、腕を支配する神経の障害が問題となりますので、肘や手関節の腱反射の異常の有無を確認します。

 

【筋萎縮検査・握力検査】

交通事故後、痺れや痛みのために手や脚の運動量が低下すると、次第に筋肉が痩せてきます。このように、筋肉が痩せた状態を筋委縮といいます。

むち打ち症の場合は、前腕、上腕の周囲径を計測し、左右差などをみることで痩せているかどうかを検査します。

また、筋力低下の度合いをみるために握力検査もよく行われます。

これらの検査は、数字で結果がでるため、一般的には客観性の高い検査とされています(握力は、頑張らないことで低い数字とすることが可能ですので慎重な判断が必要です。)。

 

詳細は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。